SEOライティングでも「ブランド」は語れる──インタビューとヒアリングで差が出る時代へ

SEOライティングとブランディングは、まったく別物のように見えて、実は切っても切れない関係にあります。特に今後、AIによる量産型コンテンツとの差別化が求められる中で、企業の「考え方」や「価値観」をにじませたSEO記事は、信頼資産としての価値を持ちます。今回は、SEOライティングの中でいかにブランドを表現していくかについて解説します。

SEO記事でブランドは語れるのか?

SEOライティングといえば、検索上位を参考に構成し、客観的・網羅的に情報をまとめるスタイルが定番です。しかし、それだけでは“無味無臭”の記事になってしまい、企業の強みや個性は埋もれてしまいます。

ヒアリングを起点に、ブランドを言葉にする

有効なのが、ライター側からのヒアリングです。構成段階では上位記事の要素も加味しつつ、「このテーマについて御社ではどう捉えていますか?」と確認することで、企業独自の視点を記事に盛り込めます。これは、ただ正しい情報を書くのではなく、「御社としての言い方・考え方」を届けるという姿勢です。

ブランドをにじませる文章構成とは?

企業の考えや価値観は、特別な語り口でなくても伝えられます。SEO記事においても、ちょっとした言葉選びや主張の出し方にそのブランドはにじみ出てきます。

「一般的には〜だが、当社では〜」の一文が差を生む

たとえば、「水道水に含まれる塩素は消毒のために必要とされるものです。ですが、当社では“子どもでも安心して飲める”という観点から、○○を導入しています」といった具合です。

このように、一般論+自社のこだわりを組み合わせるだけでも、立派なブランド表現になります。「なぜこの商品を扱うのか」「なぜこの説明の仕方を選ぶのか」が語られているかどうかが、記事の印象を大きく変えます。

会社のビジョン・価値観をライティングに落とし込む

SEOライティングにも、企業のビジョンやミッションを反映することは可能です。大げさに見えるかもしれませんが、ブランドがしっかりしていれば、記事の一文一文がそれに沿ったメッセージとなります。

たとえば、「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」ではなく「ビジョン・ミッション・バリュー(VMV)」の順番で発信している会社があるとします。この順番にも意図があるなら、それを明記することがブランド表現になります。

「世の中ではMVVが一般的ですが、当社では“目指す未来”をまず共有することを大切にしており、VMVの順で伝えています」といった文脈を盛り込むことで、SEO記事でも会社の個性が明確になります。

ホームページや過去記事も“ブランドの宝庫”

ヒアリングの機会がなくても、企業の公式ホームページや既存記事を読み込むことで、そのブランドの方向性や言葉づかいを把握することは可能です。

たとえば、「なぜこの製品が“強み”なのか」「どんなユーザーを想定しているのか」「競合と何が違うのか」など、HP上の一文からでも“言いたいこと”は読み取れます。

SEOライターは単に構成を整えるだけでなく、こうした情報を丁寧に読み取り、ブランドに沿った語り口で記事を書くことが求められます。

無個性なSEO記事は、AIで十分になっていく

今後、AIによって生成されるSEO記事が増えていく中で、人が書く価値とは何かを考えると、「ブランドを言葉にする力」に尽きるのではないでしょうか。

上位記事の模倣では、「この質問、ネットに書いてありますよ」と言える程度で終わってしまいます。でも、ブランドが反映されたSEO記事なら、「うちの考えは、まさにこのブログに載ってるんです」と胸を張って言える。これはもう、“営業資料”にもなる資産です。

SEOライティングもブランドづくりの一環

SEOライティングは、単なる検索対策ではなく、「ブランドを伝える手段」として活用できます。企業の思いや考え方を反映させるには、ヒアリングや徹底した調査が不可欠です。

ブランドの文脈を読み取り、記事ににじませる──それが、これからのSEOライターに求められる本当のスキルではないでしょうか。


本記事は、弊社代表の音声配信「stand.fm」を記事化しています。

音声は以下のURLから視聴できますので、ぜひそちらもお聞きください。

 https://stand.fm/episodes/67fd1dbd6bb1fa8872d28091

名城 政也/Masaya Nashiro

琴線に触れる株式会社 代表取締役