言語化迷子になっていませんか?会社の“らしさ”を言葉にするために必要なこと

企業のビジョンやミッション、バリューを定めようとしたとき、多くの会社が悩みます。

「うちってこういう会社……だよね?」
「いや、それは言いすぎじゃない?」
「社員に聞いたら“社長っぽくない”って言われてしまった」

このように、「方向性が決まっているようで定まっていない」「言いたいことはあるけど、しっくりくる言葉にならない」という状態は、**いわば“言語化迷子”**といえるでしょう。

この記事では、企業が自分たちらしい言葉を見つけるために、どこからどう考えていけばよいのか。そのヒントを解説します。

なぜ企業は「言語化」に迷うのか?

言語化迷子の多くは、「理念やブランドの軸が定まっていない」ことに原因があります。

表現に悩むのは、会社の本質があいまいなまま言葉だけを整えようとしているからです。

たとえば、明るく体育会系の会社が、難解な横文字や堅い表現を使ったとします。すると、実際に関わるときに「思っていたイメージと違う」と感じられてしまうのです。逆に、クリエイティブでクールな会社が「太陽のように明るい会社です」と表現しても、ブランドとの違和感が生じます。

このようなズレは、単語の選び方や語尾表現(「〜です」「〜だ」「〜である」など)にも表れ、言葉の選定ひとつでブランドイメージは大きく変わってしまいます

“うちらしさ”は「二面性」の中にある

多くの会社には、明るさと論理性、堅実さと遊び心など、一見相反する要素が共存しています

たとえば、「安いけれど質が高い」と言いたい企業があったとしましょう。

しかし、安さで勝負するのか、品質で勝負するのか、どちらに寄せるべきか迷ってしまう。

このとき大事なのは、「なぜ安くて、しかも質が高いのか?」を掘り下げることです。たとえば、「自社に専門知識を持ったスタッフがそろっているから、外注せずに内製化できる」なら、それが強みです。つまり、この会社の本質は「安い」「高品質」ではなく、「専門性のある人材が社内にいること」なのです。

このように、表面的な特徴を言語化する前に、“なぜそれが可能か”という構造的な理由を明らかにすることで、本当のブランドらしさが見えてきます

ビジョン・ミッション・バリューを形だけで終わらせないために

企業理念やMVV(ビジョン・ミッション・バリュー)は、ただ立派な言葉を並べるものではありません。

実際、「内容は間違ってないけど、社長っぽくない」「理念が会社の雰囲気と合っていない」と感じられるケースも多くあります。それはつまり、理念の中に“自分たちらしさ”がないからです。

ブランドづくりにおいては、見た目やイメージ以上に、「中身から言葉を引き出す」姿勢が求められます。

・社員はどういう人たちなのか
・お客様からどう見られているか
・仕事のスタイルや価値観はどうか

こうした現実と向き合い、「うちの会社だからこそ言える言葉」を見つけることが重要です。

「AかBか」で迷ったときこそ、深掘りのチャンス

ブランドの言語化で迷うとき、つい「A寄りにするか」「B寄りにするか」と二択で考えてしまいがちです。

しかし、本当に必要なのは、「なぜその間で迷っているのか?」を掘り下げていくこと。

間にある強みを見つけ出せれば、AでもBでもない自社独自の軸が見えてきます。

つまり、「迷っている」という状態は、思考を深めるチャンスでもあります。

言語化迷子から抜け出すために必要な視点

言葉に迷うのは、自社の強みやらしさをしっかり掘り下げていないから。企業のブランドや理念は、誰かの真似ではなく、「うちらしさ」から始まるべきです。

  • 表面的なキーワードだけに頼らず、「なぜそうなのか」を深掘りする
  • ブランドイメージと実態がずれていないかを確認する
  • 二面性を無理に片方に寄せず、「共存する本質」を見つける
  • 社内の雰囲気や社員の個性が伝わる言葉を選ぶ

こうした視点を持って言葉を見直すことで、企業の芯が伝わる“本当のブランド”が見えてきます

「うちらしさって何だろう?」と感じたときは、もう一度言葉の奥にある背景を掘り下げてみましょう。迷いの先に、あなたの会社らしい“答え”が必ず見つかるはずです。


本記事は、弊社代表の音声配信「stand.fm」を記事化しています。

音声は以下のURLから視聴できますので、ぜひそちらもお聞きください。

 https://stand.fm/episodes/6808ab52620ae1bd19c2419d

名城 政也/Masaya Nashiro

琴線に触れる株式会社 代表取締役