遅刻すらブランドになる?ガンズ・アンド・ローゼズから考えるブランディングの話

海外の有名ロックバンド、ガンズ・アンド・ローゼズ。音楽に詳しくない人でも、Tシャツのデザインなどで一度は目にしたことがあるかもしれません。1980年代から活動を続けるアメリカのバンドで、代表曲にはWelcome to the Jungleなどがあります。

ただ、日本国内では知名度こそあるものの、バンドとしての背景やエピソードを詳しく知っている人はそれほど多くないかもしれません。

今回は、そんなガンズ・アンド・ローゼズの少し変わった側面を取り上げ、それがどのようにブランドイメージを形作っているかを考えてみます。

遅刻魔・アクセル・ローズの伝説

ガンズのボーカル、アクセル・ローズはライブへの遅刻が多いことで知られています。これはファンの間ではよく知られた話で、「今回はちゃんと時間通りに来るのか」と話題になるほどです。

当然、ビジネスや一般的な仕事の場では許されることではありません。しかし、こうしたマイナスとされる行動が、彼らのブランドの一部として受け入れられていることがポイントです。

なぜ「遅刻」がブランドになるのか

遅刻は本来、信用を損なう行動です。ところがガンズ・アンド・ローゼズが持つ「破天荒」「自由奔放」といった印象と結びつくことで、それがガンズらしい個性として定着しています。

彼らの音楽は整ったメロディや洗練された構成が特徴で、「まとまったバンド」「売れ線」という印象を与える面もありました。そこに遅刻という行動が加わることで、あえて逸脱した要素を持ち、ロックバンドらしい粗削りな雰囲気を演出しているようにも感じられます。

このギャップが、より深い魅力につながっているのです。

マイナス要素も積み重なれば記憶に残る

すべての業界でマイナスが個性になるわけではありません。ただ、特定の文化やジャンルにおいては、あえて外れた要素がアイデンティティとなることがあります。

アクセル・ローズの遅刻は、もはや「またか」と笑って受け入れられる定番となり、バンドの伝説を彩る要素の一つになっています。

語りたくなる特徴がブランドを強化する

仮に、ガンズのことをまったく知らない人がいたとして、「ライブに毎回遅刻するボーカルがいるバンドがある」と聞けば、ちょっとした話題になります。

ライブに遅刻するというだけではネガティブな印象を持つ人もいますが、中には「それだけ遅刻しても許されるほどの存在なのか」と興味を持つ人も出てくるかもしれません。

こうした語りたくなる特徴は、ブランドの記憶定着に大きく貢献します。

ブランドは多面的に形成される

もちろん、ガンズ・アンド・ローゼズの魅力は遅刻だけではありません。幅広い音域を誇る歌声や、高い演奏技術、ビジュアル面での魅力など、さまざまな要素が集まってブランドが構築されています。

その中の一つとして、遅刻という癖も「人間味」や「型破りな一面」を感じさせる要素として組み込まれ、むしろ魅力を補強する形になっているのです。

続けることで個性はブランドになる

今回の例から見えてくるのは、どんな要素であれ「続けることで認識が変わり、ブランドとして成立し得る」という点です。

もちろんビジネスにおいて遅刻を推奨するわけではありませんが、「ガンズといえば遅刻」という印象がファンの間で定着し、バンドの語られ方の一部になっていることは事実です。

ブランドは、完璧さだけで成り立つものではありません。むしろ予想外の一面やギャップこそが、人の印象に深く残ることもあります。

ガンズ・アンド・ローゼズは、その一例と言えるのではないでしょうか。


本記事は、弊社代表の音声配信「stand.fm」を記事化しています。

音声は以下のURLから視聴できますので、ぜひそちらもお聞きください。

 https://stand.fm/episodes/6818c5175e60c7bd72dd6a2b

名城 政也/Masaya Nashiro

琴線に触れる株式会社 代表取締役