ブランドの一貫性とSEO:AIの時代に検索上位に立つための重要戦略

検索エンジン最適化(SEO)の世界は日々進化しています。かつてはキーワードの配置や被リンク数が重視されていましたが、現在のSEOは企業のブランド一貫性が鍵を握るようになってきました。なぜブランドを大切にした情報発信がSEOにおいて重要なのか、そしてAI時代にどのように対応すべきなのかを解説します。
ブランドの一貫性がSEOを強化する理由
検索エンジンのアルゴリズムは常に進化しており、現在はブランディングと一貫性を重視する傾向にあります。これがSEOにどう影響するのかを見ていきましょう。
情報の一貫性が信頼性を高める
例えば、美容院がホームページと予約サイト(ホットペッパービューティーなど)で異なる情報を掲載している場合、検索エンジンやAIはその情報の信頼性に疑問を抱きます。
具体的なケースを考えてみましょう。「ナシロ会社」という企業が公式ホームページでは「ケーキ屋」と謳っているのに、別のサイトでは「野菜を販売」と書いてあるとします。このような一貫性のない情報は、GoogleやAIに「この会社は実際には何をしている会社なのか?」という混乱を生じさせます。
結果として、「ケーキ」に関する検索で上位表示されにくくなります。なぜなら、「ケーキ屋」としての信頼度が薄れているからです。余計な要素(野菜販売)が混じることで、ブランドの一貫性が損なわれ、検索エンジンを混乱させるのです。
実際の評価と発信内容の整合性
さらに、企業が「接客が良い」と謳っているにもかかわらず、Googleの口コミ評価で接客に関する評価が低い場合、これも一貫性の欠如と判断されます。
現在のGoogleやAIはレビューサイトの口コミも参照しています。したがって、企業が主張する内容と実際の評価が一致していないと、検索結果で上位表示されにくくなるのです。
価格設定の統一性
価格設定も一貫性が求められます。公式ホームページと予約サイトで基本料金が異なる場合、これも情報の信頼性を損なう要因となります。
割引キャンペーンなどは別として、基本的な価格体系が各プラットフォームで統一されていないと、「どの情報が正しいのか」という疑問が生まれ、ブランドの信頼性低下につながります。
AIが重視するブランド評価の要素
AIの進化により、企業の評価基準も変化しています。ChatGPTなどの生成AIが企業や店舗をどのように評価しているのかを理解することで、効果的なSEO戦略が見えてきます。
ChatGPTが企業を評価する基準
ChatGPTに「企業や店舗をどのように選定しているか」を質問した結果から、AIが重視している要素が明らかになりました。
- ユーザーの質問内容に基づく選定:
- 価格、エリア、サービス内容に対して最も合致する情報をピックアップ
- 信頼性と実績:
- 公式ウェブサイト、店舗情報
- 利用者の口コミ
- 業界での知名度
- 最新のデータと地域性:
- 最新の検索結果データ
- 地域特有のニーズへの対応
- 価格やサービスの独自性:
- コストパフォーマンス
- 料金体系の透明性
- インターネット検索結果の関連性:
- 企業の提供する具体的なサービス内容
- ユーザーの要望に対する関連性
- 検索結果に表示される公式ページやレビューサイト
これらの基準から見えてくるのは、単にホームページを最適化するだけでは不十分だということです。インターネット上のあらゆる情報が一貫していることが重要であり、発信が多ければ多いほど上位表示される可能性が高まります。ただし、その情報が一貫していることが前提条件です。
LLMOについては、以下の記事が参考になります。
第三者のレビューの重要性
ChatGPTによれば、第三者からのレビューは非常に重要な要素です。
- 信頼性の担保:客観的な評価として重視
- 利用者目線の情報提供:実際の体験に基づく情報
- 多様な視点:様々な利用者の意見を反映
企業が自らを良いと主張していても、レビューサイトの評価が低い場合、AIはその企業を推薦しにくくなります。
企業の発信内容とブランド価値観
SNSや公式サイトの発信内容も、AIは重視しています。
- サービスの詳細や独自性
- 最新情報や更新頻度
- 顧客との接点(コメント、いいね、リツイートなど)
- 写真やビジュアル情報
さらに興味深いのは、AIがブランドの価値観や方向性も理解しようとしていることです。
- サービスの品質や顧客満足度へのこだわり
- 持続可能性(サステナビリティ)への取り組み
- 地域社会への貢献意識
こうした要素を総合的に評価して、企業や店舗を選定しているのです。
ブランド一貫性を実現するための具体的施策
理論を理解したところで、実際にどのようにブランドの一貫性を保ちながらSEOを強化していけばよいのでしょうか。
情報の一貫性を確保する
AIは複数の情報源での一貫性を重視します。例えば、ウェブサイトで「24時間対応」と書かれているのに、SNSでは「営業時間のみ対応」と書かれていると、不信感を抱きます。
すべての発信情報がブランドの軸(USP、理念)に紐づき、統一されていることが重要です。各プラットフォームでの情報を定期的にチェックし、矛盾がないか確認しましょう。
SEO記事もブランドに合わせる
SEO記事を作成する際も、「とにかくキーワードを入れる」という考え方は時代遅れです。記事の内容が自社のブランドイメージと合致しているかを常に考える必要があります。
「うちの会社はこういうイメージだから、こんな話は入れたくない」という判断は、むしろSEO的にも正しい選択です。なぜなら、一貫性のないコンテンツはAIから「この会社はブレている」と判断されるリスクがあるからです。
この考え方は単にAIのためではなく、人間の心理にも沿ったものです。人間も様々な情報源から企業を調査する際、情報の一貫性を重視します。一つのサイトでは良い印象を持っても、別のサイトで矛盾する情報を見つければ「信頼できない」と感じるのは自然なことです。
社長ブログから社員インタビューまで全てを統一
中小企業の場合、特にすべての情報発信をブランドに紐づけることが重要です。例えば、社長のブログや社員のSNS発信も、企業のブランドイメージに沿ったものであるべきです。
具体例として、花屋の経営者が「今日はピクニックに行きました」という個人的な内容だけでなく、「ピクニックに行ったら、こんな花を見つけました。この花には○○という花言葉があり…」と専門知識と結びつければ、「花に詳しい専門店」というブランドイメージの強化につながります。
過去の発信内容の見直し
これまで特に意識せずに発信してきた内容が、現在のブランドイメージと合っていない可能性もあります。過去のブログ記事やSNS投稿を見直し、必要であれば削除や修正を検討しましょう。
企業名で検索した際に、一貫性のない過去の投稿がネックとなって信頼度を下げている可能性があります。一度リセットして、ブランドの軸に沿った情報発信を行うことも有効な戦略です。
専門家としてのポジショニングを強化する
情報発信の一貫性は、特定分野の専門家としてのポジショニングを確立するのにも役立ちます。
専門分野に特化した発信
例えばSEO界隈で有名な専門家は、全ての発信内容をSEOに紐づけています。このような一貫した発信がAIやSNSのアルゴリズム、そして人々からも「SEOの専門家」という認識を獲得することにつながります。
そして、この専門家としてのポジショニングが、さらにウェブサイトでのSEO評価を高めるという好循環を生み出すのです。
ブランドを軸にした情報発信の時代へ
インターネット上の情報があふれる現代では、「誰が発信するか」が「何を発信するか」よりも重要になってきています。ブランドイメージの一貫性は、この「誰」の部分を強化する重要な要素です。
- すべての発信をブランドに紐づける:公式サイト、予約サイト、SNS、ブログなど
- 情報の一貫性を保つ:価格設定、サービス内容、営業時間など
- レビューとの整合性を意識する:自社の主張と実際の評価の乖離をなくす
- 専門性を示す発信を心がける:自社の強みを一貫して示す
今後数年で、ブランド力や理念の有無が企業の生き残りにとって一層重要になることは間違いありません。今から意識して、一貫性のあるブランド発信を心がけましょう。それが未来のSEOにおける強力な武器となるのです。
本記事は、弊社代表の音声配信「stand.fm」を記事化しています。
音声は以下のURLから視聴できますので、ぜひそちらもお聞きください。
https://stand.fm/episodes/67f1f42da52269f3dba8bdc2

名城 政也/Masaya Nashiro
琴線に触れる株式会社 代表取締役